弱い話2
・「午後は〇〇おもいッきりテレビ」という番組に表示されていた番組名のテロップ。太い輪郭線で書かれていたため、「ッ」の1画目と2画目の短い棒が密着していて、それがちょうど「ゥ」の横棒が輪郭線によって埋もれてしまってるようにも見えたので、物心ついて間もなかった僕は「なんでこんなところに小さい『ゥ』が…?」と不思議に思っていた。
・小学生の頃の夏、親に連れられて梅田の阪神百貨店の地下に降りたとき、鮮魚コーナーが近かったのか冷房がかなり強くて、しかしデパ地下がどういうところなのかとか鮮魚にはどういう環境が必要なのかとかに通じていなかった僕は、なぜこんなに寒いのか理解できず、なんで半そで半ズボンでこんな場所にいなきゃいけないんだ、夏はどうしたんだと悲しくなっていた。
・社会人になって初めて帰省したとき、とらやの羊かんを買って帰ったら、親から「あんたは初任給でとらやの羊かんを買ってくるような子やったんか…」と残念がられた。その年の夏、勤め先に近かった沼津港でアジの干物を買って実家に送ったら「普通に焼いたんより美味しいわってお父さん喜んでたよ」と褒められた。翌年の秋、フランスへ新婚旅行に行ったお土産にモエのシャンパンを買って帰ったら「新婚旅行のお土産にモエのシャンパンかいな…」と呆れられた。会社を辞めて上京し、吉祥寺の小ざさで買った羊かんを送ったら「これ…滅多に買えないんやってね…? すごく並ぶんでしょ…?」と喜ばれた。