読書感想文で2回不正して2回とも受賞した話
高校の先輩に読書感想文をブログに書いてる方がいる。本のチョイスも、紹介も、考察も面白く、真似したくなった。が、読書感想文という言葉は自分にとって不吉な響きがある。強制される嫌さとか、面倒臭さとか、苦手意識とか、それももちろんあるが、それに加えて酷い罪悪感を思い起こしてしまう。小2と高2の計2回、僕は完全なる不正をした。そしてその2回とも受賞に至ってしもたのです。
小2のときは、姉というゴーストライターを使用した。課題図書は『ぼくらのカマキリくん』。何とか読みおおせたものの、原稿用紙に「『ぼくらのカマキリくん』をよんで」と書き、学年と名前を書いたところで1文字も進まず。末っ子で忍耐のない僕は自力を早々に諦め、近くにいた姉(小5)に助けを求めたのだろう。あるいは鉛筆を握って泣きそうになってる僕を姉が見兼ねて助けてくれたのかもしれない。『ぼくらのカマキリくん』をすでに読了していた姉は、小2の感想としてリアリティのあるレベルに落としながら、一字一句、書くべきことを教えてくれた。僕はその神の言葉を原稿用紙にただ書き留めるだけ。それが小2のレベルを遥かに超えていることに気付く力もなくそのまま提出し、学年賞を獲得してしまった。
その段階ではまだ懲りず、高2のときも不正をしてしまう。今度も姉を頼ったが、姉は課題図書を読んでなかったので、かわりにネット検索を教えてくれた。自分の読んだ本のタイトルを打ち込むと、完成済みの読書感想文がぞろぞろ出てくる。コピペというスキルは無かったので、いろんな感想文から使えそうな文をノートにメモり、それっぽく繋ぎ合わせたものを原稿用紙にまとめて提出した。すでにどこかで評価された感想文から盗ったので当たり前だが、国語の先生からすこぶる褒められ、市のコンクールに出すことになった。さすがに高2となると多少の理性があったのだろう、結構焦った記憶がある。が、その段階で言い出して怒られるのを恐れ、そのまま出すことになった。結果、コンクールでは落選したが、朝礼で、全校生徒の前で表彰されてしまった。ネット上にあるものからパクったので、どこかのタイミングでバレててもおかしくないが、特に何も言われなかった。ただ、表彰されているときに国語の先生のほうを見たらどこか苦々しい表情をしていたので、本当はバレていたのかもしれない。
そのとき頂いた記念品を見ながら、ようやく僕は本当に罪悪感を抱いた記憶がある。自力で頑張った人がもらうはずだったものをなぜ自分が持ってるのかと。そこで気付けたおかげで、卒業論文や、仕事や、盗作したら人生が終わりかねない局面では、不正をしようという発想に至らずに済んだのだろう。たぶん小保方さんは読書感想文でもっと不正しとくべきだった。
というわけで、読書感想文と聞くと罪の意識で「あっぱっぱ!」とか叫んでしまうことがある。不正をした子供は「あっぱっぱ!」とか叫ぶ大人になることを皆さんも肝に銘じて頂きたい。